中野Gのスレッド

好きに書く日記でもあり、真面目に振り返る活動記でもあり、未だ見ぬ何かへのマイルストーンでもあります。

田中光PV③:『live feat.MEISO』の思い出

お久しぶりです。
先日、自分が監督した田中光のMV『live feat.MEISO』が公開されましたので、いつものように撮影の思い出を書いていこうと思います。
(ちなみに、既に公開されている映像2つに関しては、後日改めて記事にしようかと思います)

 

www.youtube.com

①準備
田中さんから本MVの依頼を受けたのは3月頃だったでしょうか。
当時、他の田中光MVも同時制作していた関係で、それらのMVとどう差別化を図るかが一つの課題だったのですが、本作については田中さんから「渋いイメージにしたい」「昔から使っているアトリエを使いたい」という要望を頂きました。
なるほどなるほど、と思いつつも「(伝統のHIPHOP的な)渋さ」というのは、MCバトルからHIPHOPに入り、かつ近年の音源ばかり聴いていた自分のアーカイブには無い文化でした。この要望にはもちろん沿いつつも、表面だけの真似で終わったら確実に本作はスベる。ここに来て自分は、知恵と工夫で何とか正面衝突を回避してきた「渋さ」と戦う事になったのです…。

結論から言うと、今回自分が使った武器は【長回しを使った面白さ】【レトロ感を出す色調整】の2つでした。
まず長回しに関しては、撮影場所であるアトリエでのロケハン時に決めました。実際に行ってみたところ、雰囲気があると同時に歩き回れるスペースがあり、かつロフト的なベッドや外に出れるベランダなど高低差を使った動きも可能だと分かり、「これは長回しで面白く出来そうだ」と直感的に思ったのです。
また、上手くやれればカメラワークのみでも面白さを出せること、田中さんの長所がより濃く出ること、そして長回しという手法自体は「渋さ」には影響を出さないだろうと思い、今回は長回しのみで行くことにしました。

f:id:nakano_g:20160527172111j:plain


②撮影

田中さんとMEISOさんが戦極14章にタッグで出場ということで、それまでの完成を目指し、微妙に暑くなってきた5月上旬に撮影を行いました。今回のキャストは田中さん、MEISOさんに加え、トラックメイクを担当したBugseedさん。
今回は長回しなので、だいたい15〜20回ほど練習を重ねましたが、キーワードは「パス回し」でした。今回は長回しでカット割りでの変化が出せないため、単調さを出さず変化と新鮮さを出すために、各自が色々な人やモノに「情報のパス回し」をして視聴者の視線・意識を常時変化させ続ける必要があります。動きのパターンや緩急を変える、小道具に注目させる、映像に出たり入ったりする、別の人の方にカメラアングルを誘導するなどですね。

そういった意味で、「パス回し」が抜群に上手かったのがMEISOさんです。本来持っているセンスがそうさせたのか、自分の演出意図を瞬時に汲み取ってくれたのかは分かりませんが、自分の意図を伝える前からそういったパス回しを完璧にして下さいました。
細かいですが、「窓からジャンプしてソファーに」→「カメラに向かってラップ」→「ジェンガでGOODを作る」→「近くのワインボトルをバットに見立てる」のパス回しは、尺バランス・視線誘導コースも含めて見事の一言に尽きます。
自分の指示だけでは、あのパス回しはおそらく出来なかったでしょう。

Bugseedさんについては、演奏だけでは動きが足りないなと思い、自分のカメラを持って動き回って頂きました。頭と終わりも含め、いい感じのバランスでパス回しの一員になり、かつ雰囲気を作る重要な立ち位置になって頂いたと思います。
そしてもちろん田中さんも、持ち前のアクションを発揮し、移動距離的には最も長く動いて頂きました。MEISOさんとは違うタイプの動きだったのも非常に良い要素だったと思います。

f:id:nakano_g:20160527172344j:plain


③編集

長回しなので凝った事はしていませんが、前述した【レトロ感を出す色調整】には苦労しました。完成品の色イメージが最初からあった訳ではなかったので、色々と試行錯誤と分析をしながら、手探りで調整をしていきました。
「白黒にするか否か」「実際の色を再現するか偏らせるか」「ノイズをどの程度許容するか」が主な悩みポイントでしたが、結果としてはこのような色になり、この感じが自分なりの「渋さ」と結論づけた次第です。
また、現場ではBugseedさんが手に持っていたカメラでも録画をしており、それも合間に挟もうかと思っていたのですが、シンプルに行ったほうが総合的に良いと判断したため、長回しのみのシンプルな形になりましたね。

 

という訳で出来上がった本作。
関係者の皆さんに感謝するとともに、これからのMVも引き続き頑張ろうと思います。
田中光の新MVもこれからリリースしますので、お楽しみに。

sengokumc.thebase.in